
世界はダイバーシティからインクルージョンへ
2010年から2年に1度くらいのペースでアメリカの企業を視察させてもらっている。
基本的には「働きがいのある会社」ランキングなどにランクインしている企業から選定をしており、その中には日本でも多くの人がご存知のGoogleやindeedなどの急成長中の企業も含まれる。
今年も10社以上の素晴らしい企業を訪問させていただいた。
その中で、明らかに、社員の方々から出てくるキーワードが変化してきていたので、今回はそれを紹介したいと思う。
今年最も出てきたキーワードは、インクルージョン。
日本ではまだまだ聞くことが少ないキーワードであり、どういうこと?と思われる方もいると思うので、簡単に説明したいと思う。
インクルージョン(inclusion)とは、直訳してしまうと「含めること」とか「一体性」という意味となる。
これだけだと、どういうこと??とよくわかりにくいのだが、Googleの担当者の方が言っていたのは、
ダイバーシティ(多様性)は、パーティーにいろいろな人(人種、年齢、性別、嗜好性)が招待されている様子
インクルージョンは、そんないろいろな人がそのパーティーで一緒に踊っている様子
というイメージだということ。
つまり、色々な人が集まっているだけではなくて、さらに一緒に何かをしているということがインクルージョンということなのだ。
日本においてもダイバーシティという言葉は当たり前のように会話されるようになったが、2014年のアメリカ視察の際に多くの企業がダイバーシティの大切さを語っていた時、日本ではまだまだ今のような感覚では使われていなかった。
そして今年、訪問させてもらった企業でダイバーシティは当たり前になっており、その次のステップであるインクルージョンをどう進めていくのかというテーマがメインとなっていたのである。
ふと、日本の大半の企業を振り返ってみると、ダイバーシティといってもそれは、職場への女性進出ぐらいの関の山で、やっぱり企業戦士になれる男性社員がマジョリティーとして会社は回っているのだ。
学歴の違い、外国人、LGBT、高齢者、ワーママ、イクメンなどのプライベート重視派など、まだまだ日本の職場では少数で、ダイバーシティすら浸透していな状態。
つまり、これだけインターネットで情報が共有されるようになった今でも、3年分はアメリカに後れを取っているということだ。
ところで、なぜインクルージョンが必要なのか?
先日facebookでもシェアしたフォーブスの記事の中にあるが、
(参考:https://forbesjapan.com/articles/detail/18074)
・インクルーシブなチームが、それ以外のチームよりも良い経営判断を下す割合は最大87%
・インクルーシブな意思決定プロセスを踏むチームは、それ以外のチームの2倍の速度で意思決定が進み、ミーティング回数は半減する
・多様性のあるチームが意思決定して実行した場合、結果は60%改善する
というように、インクルーシブな組織はより良い成果を生むのである。
また、今回のGoolgleの講演でも述べられていたが、
心理的安全性が感じられる組織(safe)とそうでない組織(unsafe)では売上目標に対する達成率が
safeチーム +17%
unsafeチーム -19%
という差が出たのだそうだ。
心理的安全性の中には、「自分がここに居ても大丈夫だ」という心理的な安全性も含まれるが、ダイバーシティ(多様性)が認められる状態というのは、企業経営にも非常に重要なことなのだ。
またindeed社で聞いた話によると、
多様性のある企業は財務利益が35%が高い傾向にある
という調査結果がアメリカでは出ているという。
さて、日本の企業はどのような選択をするのか?
日本でも、多様性が認められることは良いよね、という空気感はまあまあ出てきている。
ただ、このようにデータでその成果が突き付けられた今、企業としてどう動くのか。
多様性があった方がいいのはわかるけど、まだ弊社では・・・と言って体制の変化を嫌うのか、それとも新しいイノベーションを生み出すために多様性を受け入れ、さらにインクルージョンまで昇華させるのか。
あなたの会社は、どっちでしょう?